「アメリカと日本茶」第9回
みなさん、お久しぶりです。時代が変わり令和元年になりました。平成29年トランプ大統領が就任したした時に、「アメリカと日本茶」という題名で4回連載しました。内容は「ア、ペリー以前の日本茶業」「イ、泰平の眠りを覚ます蒸気船(上喜撰)、たった四杯で夜も寝られず。」「ウ、宇治製法」「エ、揉切り法(もみきりほう)と転繰り法(でんぐりほう)」でした。2回目平成30年の連載の内容は「オ、アメリカでの日本緑茶」、「カ、日本茶貿易の実態」、「キ、手揉製茶から機械製茶へその1」「ク、手揉製茶から機械製茶へその2」でした。今回はその続きを書かせていただきます。
1. 日本茶業はペリーによって始まった。
ケ、日本茶が真直ぐな理由とアメリカその1
現在皆さんが目にされる日本茶のほとんどは形(形状)が真直ぐです。日本茶の中でも、抹茶の原料である碾茶(てんちゃ)や釜炒茶、グリ茶(玉緑茶)、紅茶、などは真直ぐな形状ではありませんが、日本茶の大部分を占める煎茶、玉露、かぶせ茶などでは形が針のように真直ぐで細いものが良いものとされている様です。
2017年の統計で世界のお茶を見てみますと、全世界の茶の生産量は581万トンでその内約6割の約350万トンが紅茶です。紅茶の形状は真直ぐではありません。
世界の茶の内約3割、約170万トンが緑茶ですが、そのほとんどが中国緑茶で形状は真直ぐではありません。残りの約1割、約60万トンが烏龍茶等でこれも真直ぐではありません。
世界中で真直ぐなお茶は、日本茶の生産量7.8万トンのうち煎茶などの約5万トンで世界中のお茶の内約1%弱しかありません。
日本の茶は世界の茶の中では特殊な形をしている事が分かります。
次囘は日本の煎茶がなぜ真直ぐになったかを考えます。
令和元年11月