前回は「水」について説明しました。
「お茶の99.5%以上が水ですから、お茶に適したお湯を沸かすのが、おいしいお茶を淹れる第一歩です。」と
言うのが結論でした。
今回は、その二「原理(淹れ方理論)」について説明します。
お茶は嗜好品ですので、どのように淹れていただいてもよいのですが、「原理」を理解しないとなかなか美味しいお茶は淹れられません。
また、お茶は天然自然の飲料で、化学的に合成したものではありません。
そのため、お茶の香味は、多くの成分により造り出された複雑なもので一定なものではありませんが、簡単に説明しますと、
その味は「苦味渋味」と「旨味」の調和によって決まるという事です。
そしてその決め手になる成分は「カテキン」と「アミノ酸類」です。
「カテキン」は、渋味、苦味の成分で、80度以上の高温ではすぐに溶け出しますが、
低温ではなかなか溶け出しにくいという性質も持っています。
それに反して「アミノ酸類」は旨味の成分で、カテキンの溶け出しにくい低温でも、
時間をかければ溶け出してくれます。
ですから、旨味を出そうと思ったら、「カテキン」の溶け出しにくい60度以下の低温で時間をかけて出します。
反対に、渋いお茶が欲しければ、80度以上の高温で出せばよいわけです。
また、香りは高温で出やすく、低温では出にくい性質を持っています。
ですから、香りを楽しむお茶(玄米茶、ほうじ茶、番茶、紅茶)は80度以上で、旨味を楽しむお茶(玉露、かぶせ茶)は60度以下で、渋味と旨味の調和を楽しむお茶(煎茶)は60度から80度の温度で出せば、美味しく淹れられると言うことです。
結論として、「カテキン(苦味渋味)とアミノ酸類(旨味)の湯温の高低による溶け出し方の違い」―原理―を理解することが、美味しいお茶を淹れる第二のカギです。
2013年8月掲載
執筆:桑原秀樹