図1.
特許第2718号「茶葉揉乾機」第1図、第2図、望月發太郎、明治29年(1896年)4月18日(カワサキ機工提供)
望月發太郎の「茶葉揉乾機」、明治29年(1986年)図1は明治29年(1986年)4月18日に特許第2718号を得た望月發太郎の「茶葉揉乾機」の第1図と第2図です。
特許明細書には「この発明は焙炉の上に架したる二個の並列せる圓樋状の鑵内に、稍高き弧状の揉台を交互反対に並設し、其の上端に当たる所には各突縁を付設し、又揉台上には弾條にて圧迫されたる揉手を具えて推引往復すべくし、この揉手の後端に漏斗を具え、揉台より逸散せる茶葉を其後より掻箒にて掃入るべくし、揉台の下端に接近せる所には、刷子を具えて逸散せる茶葉を左右に掃うべくなしたる。茶葉揉乾機の目的とする所は、茶葉を破折或は屈折若しくは団塊とならしむることなき様、圓杆状に周密に揉乾し、且つ逸散せる茶葉をして之を損傷することなく、善く揉捻部に復せしむるに在り。」と説明されています。
釜が二つの精揉機はこれまで見たことがありません。精揉機の産みの親である望月發太郎が考案した最初の精揉機がこのような形だったことを知りビックリしました。しかし、この釜が二列になった形の精揉機は実用化はされなかったのではないかと思われます。
図2
特許3800号「茶葉精揉機」第1図、第2図、臼井喜市郎、明治32年(1899年)10月28日
(カワサキ機工提供)
(2)図2、臼井喜市郎の「茶葉精揉機」明治32年(1899年)
図2は明治32年(1899年)10月28日に特許第3800号をえた臼井喜市郎の「茶葉精揉機」の第1図、第2図です。特許明細書には「此の発明は圓桶状の鑵に揉台を並設し、各揉台の直上には弾機の為に絶えず適度に揉台を圧迫すべき傾向を有すべく、框に容入せる揉手を囘軸に取り付け、此の囘軸の歯輪と噛合わして反対の方向に搖囘すべき他の囘軸に取付けたる掻込版及び掻上版の作用に依りて、揉台より揉出されたる茶葉を繰返して揉上げしむべくなしたる。茶葉精揉機の目的とする所は、茶葉の芳香色沢を良好ならしむると同時に、全部を均等に且つ破折屈曲の憂いなからしむるべく揉上げしめ、然も構造を簡易ならしむるに在り。」と説明されています。
望月發太郎の精揉機の3年後ですが、現在の精揉機の原型と云うべき構造に進化しています。