マ
- マカセ(任せ)
- 一回、一回見本を送って注文を受ける(見本注文)のではなく、新茶後にその年の標準見本を送り、その後は見本なしに任されて注文を受けること。任せ注文
- マクリ(捲くり)
- 荒茶を仕上加工しないで、荒茶のまま他の茶業者に転売すること。昔の鹿児島はほとんどが「マクリ」だった。捲くり売り
- マクリウリ(捲くり売り)
- 捲くり(マクリ)に同じ。
- マタイ(またい)
- 荒茶の乾燥状態が悪くて、荒茶を手に取ったときに、パリッとしないでフニャフニャした状態のこと。
- マタチャ(又茶)
- 二番茶のこと。
- マッチャ(抹茶)
- 碾茶を茶臼で挽いて微粉末にしたもの。
- マッチャジョウ(抹茶錠)
- 昭和10年代、茶の軍用利用の研究で製造された。抹茶の変質防止及び使用の簡便を主眼とし、薬物と嗜好両用の新加工品で、抹茶をプレスして錠化したものであった。
- マッチャトウシ(抹茶篩)
- マッチャブルイに同じ。
- マッチャブルイ(抹茶篩)
- 茶臼で挽き上げた抹茶は60メッシュの篩でふるい製品となる。
- マッチャミルク(抹茶ミルク)
- 抹茶にミルクと糖を混ぜた飲み物。
- マツノミドリ(松の緑)
- 碾茶の色沢を表す言葉。松のように深く濃い緑色のこと。浜の碾茶に多い。竹の緑
- マナゲ(まなげ)
- 茶選りの最終工程。折敷、拝見盆に茶を広げ、茶選り箸で茎や色がわりなどを取り除く(マナゲル)こと。ナマゲヨリに同じ
- マナゲバシ(まなげ箸)
- 茶をまなげるときに使用する竹製の箸のこと。チャヨリバシに同じ。
- マナゲヨリ(まなげ撰り)
- 茶選りの最終工程。折敷、拝見盆に茶を広げ、茶選り箸で茎や色がわりなどを取り除く(マナゲル)こと。まなげに同じ。
- マルコウ(丸公)
- 茶の公定価格のこと。戦時中は茶も価格統制され、昭和16年から23年まで価格査定委員会が決定した公定価格制度が実施された。
- マルボン(丸盆)
- 拝見盆の内、丸い拝見盆のこと。
- マルモミ(丸揉み)
- 宇治、朝宮、大和など関西の茶の特徴で、紡錘形に太く丸く揉むこと。細揉み
- マルヨレ(丸撚れ)
- マルモミに同じ。
- マワシブルイ(廻し篩)
- 篩を円を描くように丸く平行に動かして茶の大きさを揃えること。
- マワリヅミ(回り摘み)
- 在来の手摘み茶園で、芽伸びの良い茶の樹を選んで、あちこち点々と摘むこと。
- マンジュウガタ(饅頭型)
- 昔の茶園は一株一株が独立し、ハサミ刈りの茶園では饅頭のような形であった。
- マンパチ(蒸器)
- 杉の円形の枠に、底には竹製の粗い格子になっているもので、茶の生葉を蒸すのに使用する。ムシドウシ(蒸篩)、ムシカゴ(蒸籠)、マンボーに同じ。
- マンボー(まんぼー)
- 杉の円形の枠に、底には竹製の粗い格子になっているもので、茶の生葉を蒸すのに使用する。ムシドウシ(蒸篩)、ムシカゴ(蒸籠)、マンパチ(蒸器)に同じ。
ミ
- ミ(箕)
- 竹で編んだ箕に和紙を張り柿渋を塗ったもので、茶を簸出したり、茶を合するのに使う用具。大中小がある。
- ミカエリチャ(見返り茶)
- 第2次世界大戦後、アメリカの配給物資の見返り品としてアメリカに輸出された茶のこと。
- ミカゲ(御影)
- 茶臼は昔宇治石でつくられたが、現在ではほとんど御影石でつくられる。
- ミサキ(箕先)
- 簸出箕で簸られて箕から飛び出した茶の軽い部分のこと。
- ミショウ(実生)
- 茶の実を播いて生まれた茶の木。実生え(みばえ)。
- ミズヲスル(水をする)
- 茶を売買するとき、外観審査だけではなく浸出審査(内質審査)をすること。
- ミッカカブセ(三日冠せ)
- ちょい冠せと同じ。
- ミツケ(見付)
- 茶の入札で、見本を審査してその茶につけるおおよその値段のこと。普通は価格の上二桁を符丁または数字で示す。見付値
- ミツケネ(見付値)
- 見付(ミツケ)に同じ。
- ミッツゴウ(三ツ合)
- 合組(ブレンド)用語。香、味、色形の三つが生きるように合組すること。
- ミツバカケ(三っ葉掛け)
- ミハズミに同じ。
- ミナガケ(皆掛け)
- 正味と風袋を合わせた重量のこと。
- ミノムシ(蓑虫)
- ダンゴと同じ。茶の葉が一本一本揉まれないで、蓑虫のように塊りになったもの。二番茶に多い。
- ミハガキ(三葉穫)
- ミハズミに同じ。
- ミハガケ(三葉掛け)
- ミハズミに同じ。
- ミハズミ(三葉摘)
- 茶の芽を一芯三葉で摘む事。
- ミホン(見本)
- 茶の商品サンプルのこと。
- ミホンカン(見本缶)
- 茶の商品サンプルを入れるための小型のブリキ缶のこと。
- ミホンチガイ(見本違い)
- 茶の見本と原荷が違うこと。
- ミホンボン(見本盆)
- ハイケンボンに同じ。
- ミルメ(みる芽)
- 若い芽の事。
- ミルメカ(みる芽香)
- 若い芽の香りのこと。
ム
- ムシアケダイ(蒸明台)
- 手蒸しで、蒸し揚がった茶葉を冷ます台のこと。サマシダイ(冷し台)、ムシダイ(蒸台)、ハシリに同じ。
- ムシイタ(蒸板)
- 檜の二寸板の中央に、径六寸位の穴を穿ったもので、鶺鴒釜の上に載せるもの。
- ムシオキ(蒸置き)
- 一度に大量に蒸して、蒸だめすること。
- ムシカゴ(蒸籠)
- 杉の円形の枠に、底には竹製の粗い格子になっているもので、茶の生葉を蒸すのに使用する。ムシドウシ(蒸篩)、マンパチ(蒸器)、マンボーに同じ。
- ムシガマ(蒸釜)
- 生葉を蒸すための蒸気を発生させる鉄釜のこと。安政年間以降セキレイガマに変わった。
- ムシグリ(蒸ぐり)
- 蒸製玉緑茶のこと。釜炒り製グリ茶に対して、蒸製のグリ茶のこと。
- ムシダイ(蒸台)
- 手蒸しで、蒸し揚がった茶葉を冷ます台のこと。サマシダイ(冷し台)、ヒヤシダイ(冷台)、ムシアケダイ(蒸明台)、ハシリに同じ。
- ムシテ(蒸手)
- 茶葉を蒸す役割の人のこと。
- ムシドウシ(蒸篩)
- 杉の円形の枠に、底には竹製の粗い格子になっているもので、茶の生葉を蒸すのに使用する。ムシカゴ(蒸籠)、マンパチ(蒸器)、マンボーに同じ。
- ムシバ(蒸場)
- 茶の生芽を蒸す場所。
- ムシバシ(蒸箸)
- 手蒸しで蒸籠の芽を掻き交ぜて充分に蒸せるようにしたり、葉に打圧を与えて色が付くようにする為に使用する竹製の箸のこと。
- ムショクチャ(無色茶)
- 明治時代に海外輸出される茶は中国に倣って着色料で着色された茶が多かった。着色してない茶を無色茶と言った。
- ムチャクチャ(無茶苦茶)
- 道理に合わないこと。目茶苦茶。減茶苦茶。に同じ。
- ムックリ(むっくり)
- 茶の香味、状態を表す言葉。柔らかで、穏やかで、ホンワリ良い状態を言う。
- ムレ(蒸れ)
- 生葉貯蔵中や茶の製造中に茶がむれる現象。
メ
- メアイ(芽相)
- 茶の芽の成長状態。
- メカケ(芽かけ)
- 茶の目方を計ること。
- メカケカゴ(芽掛け籠)
- 茶の目方を計るのに使われる籠のこと。
- メサキ(芽先)
- 新芽の一芯五六葉のうち一芯のこと。真葉(シンハ)に同じ。
- メジャ(芽茶)
- 新茶のこと。徳島那賀町
- メダシゴエ(芽出し肥)
- 三月から四月にかけてやる春肥(はるごえ)で、はやくやるのを「芽出し肥」と言い、晩くやるものを「色付け」と言う。
- メタテ(目立)
- 茶臼の溝(目)を彫り直すこと。
- メチャクチャ(目茶苦茶)
- ムチャクチャに同じ。
- メヅミ(芽摘)
- 茶摘み子さんの賃金で、摘んだ茶の目方に応じて支払うもの。日給をチンヅミ(賃摘)と言う。
- メハコビ(芽運び)
- 茶摘子が摘んだ生芽を焙炉場(製造場所)まで運搬すること。
- メハコビカゴ(芽運び籠)
- 茶摘子が摘んだ生芽を焙炉場(製造場所)まで運搬する為の籠。シンドに同じ。
- メバリ(目張)
- 茶櫃の蓋を鎹で留めた後、帯状の紙で封すること。
- メバン(芽番)
- 一番茶摘採後に出てくる遅れ芽を製茶したもの。
- メン(めん)
- 手製碾茶の製造で使用する道具。竹製の熊手状の道具で、焙炉の助炭に広げられた蒸し葉を攪拌するのに使う。ネン、サラエ(さらえ)に同じ。
- メンカムリ(面冠り)
- 茶箱の商標を隠すため、茶箱のつまだけに菰をかぶせた荷造り。
- メンコ(めんこ)
- 茶の外観のこと。
- メンダイ(めんだい)
- 藁屑や包葉のこと。
- メンダイトオシ(めんだい透し)
- 茶の芽を蒸す前に、篩で苞や塵を取り除くこと。
モ
- モガ(もが)
- 加工用抹茶の粉砕原料。生葉を蒸した後葉打機、粗揉機、中揉機を通し、そのあと乾燥機で乾燥したもの。伊勢、静岡で多く作られている。
- モッケイ(木茎)
- 茶に含まれる茎のことで、輸出茶では含有率が決められていた。
- モッテカエシ(持って反し)
- 茶香服において三煎目まで正解で、四煎目に間違えること。二つの正解札を持っていて反対に返すに意。
- モットイ(元結)
- 紙の茶袋の口をくくる紙紐のこと。髪をくくる元結い(もとゆい)から転じた言葉。
- モトイレ(元入れ)
- 畝間に盛った土を株元に戻すこと。モトヨセに同じ
- モトゴエ(元肥)
- 8月下旬から9月中旬に施肥する肥料のこと。三要素を含む、遅効性の有機肥料。
- モトダシ(元出し)
- 茶園の株元の土をさらい、上根を切り、畝間にその土を盛ること。
- モトノケ(元のけ)
- モトダシに同じ。
- モトビ(元火)
- 製造過程の精揉機や乾燥機によって生成された火香のこと。元火の入った荒茶は青臭さがなく、その芳香は秋冬になっても消えにくい。
- モトユイ(元結)
- モットイに同じ。
- モトヨセ(元寄せ)
- 畝間に盛った土を株元に戻すこと。モトイレに同じ。
- モミ(揉み)
- 碾茶製造の「あぶり」に対して、玉露、煎茶製造を「もみ」という。
- モミイタ(揉み板)
- 揉み盤と同じく冷や揉み用の用具で、木の板に藁縄を巻きつけたもの。この上で力を入れて茶を揉む。
- モミイタ(揉板)
- 手揉み製茶の最終工程で使用する板のこと。
- モミキリ(揉切)
- 手揉みで、茶を両手で挟み、揉み落とす動作のこと。
- モミダイ(もみ台)
- モミバンに同じ。
- モミバン(もみ盤)
- 冷や揉み用の用具で、竹を割いて縦軸とし藁縄を横軸として編み上げたもの。茶揉み板、茶揉みゴザ、茶揉み台とも呼ばれる。
- モミホイロ(揉焙炉)
- 手揉み製茶に使われる焙炉のこと。
- モロモロ(もろもろ)
- 茶香服で、茶碗の底にモロモロ状態で沈んでいる沈さのこと。
- モンコウハイ(聞香杯)
- 半発酵茶の香りを愉しむために台湾で作られた筒状の茶碗。聞香杯に入れた茶を茶杯に空け、空の聞香残り香を