ナ
- ナイシツ(内質)
- 香気と滋味のこと。
- ナカアゲ(中揚)
- 手揉み製茶で、横まくりの後に茶を助炭から下ろすこと。
- ナカウチ(中打)
- 茶園の畝間を耕すこと。ナカボリに同じ。
- ナカギリモミ(中切揉)
- 葉を両手に掴み、中指に力を入れ前へ引き、小指人差し指にて上へ下にひき、数度の揉合によりて、自ら葉の上下に抜け出づるなり。凡て中切揉みは葉の後先に締りよく、美(きれい)になすの効用あるものなり。ツヅミモミに同じ。
- ナカサク(中作)
- 茶園の畝と畝の間に作られる作物のこと。
- ナガシ(流し)
- 蒸釜の横に置き、蒸し終わった葉を蒸篩(ムシトオシ)より移し拡げる台で、一方にサマシ籠に葉を落す口がついている。
- ナガシ(流し)
- ナガシヨリに同じ。
- ナガシバ(流し場)
- 荒茶を仕上げ加工する場所の事。茶の仕上げ作業をする事を茶を流すと言うことから、仕上の場所を「流し場」というようになった。
- ナガシヨリ(流撰)
- 手製仕上げで、一撰を篩で何回か葉揃えし箕で簸出した箕元から手撰で細い骨や色の浅い葉を拾い取ること。二撰(ニヨリ)とも言う。
- ナカヒ(中火)
- ナカヒチャに同じ。
- ナカヒチャ(中火茶)
- 中揉機をでた茶葉を中火茶という。
- ナカヒモミ(中火揉)
- 床揉せし者を炉上に移し、葉へ熱度を与える迄は能く風切をなし、愈々(いよいよ)熱すれば「五手拾い」と云うて三手先へ拾い、二手跡へ戻りて炉中の茶を纏めて一手に握りて強く揉捻す。斯くなしつつある内、茶は漸次乾燥して色沢を現はし来る。此際懇ろに注意せざれば形状好き茶を得難し。畢竟香気を発するは中火揉の際にあるものなれば 能く火度に注意して働くべし。且中火にて能く乾燥せば、仕上に至りて利益あり。
- ナカボリ(中堀)
- 茶園の畝間を耕すこと。ナカウチに同じ。
- ナカモミ(中揉)
- 手揉み工程を三人一組でする時、下揉、中揉、揚揉に分かれる。
- ナカモミキ(中揉機)
- 緑茶製造で揉捻機の次に使う機械のこと。チュウジュウキに同じ。
- ナカヤマ(中山)
- 製茶期間を山(やま)と言い、その最盛期、中間を中山(なかやま)と言う。終わりを篭やぶりと言う。御詠歌の中山寺から。
- ナカマ(仲間)
- 仲間卸に同じ。
- ナカマオロシ(仲間卸)
- 地元の茶問屋仲間に茶を卸すこと。
- ナク(哭)
- 茶臼に碾茶が供給されず、空臼を挽くとキーキーと臼から音が発生する。臼が哭くという。
- ナゲフダ(投札)
- 茶香服で投札箱に入れる解答用の木札のことで、花鳥風月客などの銘が彫ってある。トウサツフダ、イレフダに同じ。
- ナシムシ(梨蒸)
- 永谷宗円は生葉を蒸す時に蒸籠を使わずに梨籠で蒸したと云われている
- ナツキリ(夏切)
- 口切りの前、夏に使われる碾茶をいう。その年の見本茶の意味もある。
- ナツキリツボ(夏切壺)
- 夏切りの薄葉を入れた茶壺のこと。
- ナツチャ(夏茶)
- 二番茶、三番茶のこと。
- ナベイリ(鍋炒り)
- 釜炒りに同じ。
- ナマオチャヨリ(生御茶撰)
- 覆い下園で茶摘みされた新芽から古葉や黄葉などを選ること。
- ナマゴロシ(生殺し)
- 釜炒りの青殺。
- ナマハヨリ(生葉選り)
- 手摘みした生葉の中の、古葉、藁、などを選ること。
- ナマハウリ(生葉売り)
- 摘んだ新芽を製造しないで、生の葉のまま売ること。
- ナマメウリ(生芽売り)
- ナマハウリに同じ。
- ナマモミ(生揉)
- 手揉み製茶で、露切り、横まくり、中揚げまでの力のいる揉む工程。シタ、シタモミに同じ。
- ナル(なる)
- 覆下園の下骨に使う桧の杭丸太。一反に240本いる。
- ナンセイリュウ(南勢流)
- 明治12年頃までに南勢で起こった手揉製茶法。立手葉揃揉。静岡に伝わりデングリ揉みの基になった。
ニ
- ニエバ(にえ葉)
- 蒸し過ぎによって黒褐色になった茶葉
- ニギリ(握り)
- 手挽き臼の挽手にかぶせる竹製のもの。、手で握って茶臼の上臼を回転させる。
- ニギル(握る)
- 静岡式手揉みの最終工程で、茶を二分しその片方を揉み切り(握る)すること。アゲモミと同じ。
- ニコ(柔、和)
- 砂土壌のやわらかいこまかい水はけの良い土のこと。
- ニゴエ(に肥)
- 人糞尿を三倍の水でうすめ、油粕を入れて、野つぼで20日以上腐熟させたもの。
- ニジュウ(二重)
- 覆下茶園で、葦簾の上に藁を葺いた状態のこと。「二重を葺く。」とつかう。本簾(ほんず)のこと。
- ニジュウフキ(二重葺き)
- 本簀の覆いで簀を拡げた上に、稲藁を振り拡げること。簀で遮光率は50%、藁ふきのあとは95~98%になる。ワラフキに同じ。
- ニダンガリ(二段刈り)
- よく伸びた茶の新芽を上の部分と下の部分に分けて二度摘採し、それぞれ製茶すること。
- ニチジョウサハンジ(日常茶飯事)
- ごくありふれたこと。
- ニチャ(二茶)
- 一番茶(初茶)摘採の後、45日くらいで摘採される二回目の茶のこと。二番茶のこと。
- ニチャ(煮茶)
- 茶を殺青するのに、生葉を沸騰した湯で煮て殺青して製造された茶のこと。
- ニッカン(日干)
- 日光で茶の乾燥を行うこと。燃料が高価だった昔は焙炉製より日干製が多かった。日干番。ヒザラシ(日晒)に同じ
- ニッカンイチョウ(日干萎凋)
- 太陽光線を利用して生葉を萎らせること。
- ニッカンバンチャ(日干番茶)
- 日干で製造した番茶のこと。
- ニドビ(二度火)
- 仕上げ乾燥をした茶を再度乾燥すること。再火と同じ。
- ニバンシ(二番師)
- 手揉み製茶で、中揚げ以降を揉む熟練した焙炉師のこと。
- ニバンシュウ(二番衆)
- ニバンシに同じ。
- ニバンチャ(二番茶)
- 一番茶(初茶)摘採の後、45日くらいで摘採される二回目の茶のこと。二番茶のこと。
- ニバンモミ(二番揉み)
- 手揉み製茶の中揚げ以降の熟練の技のいる手揉み工程のこと。シアゲモミに同じ。
- ニバンヨリ(二番撰)
- 手製仕上げで、一撰を篩で何回か葉揃えし箕で簸出した箕元から手撰で細い骨や色の浅い葉を拾い取ること。二撰、流撰(ナガシヨリ)に同じ。
- ニヒョウ(荷票)
- 出荷する荷物に証票を貼って、内容品の銘柄証明を兼ね、組合費等を徴収する制度を荷票制度という。
- ニホンキョウカイシ(日本教会史)
- ポルトガルのロドリゲスが著した16世紀後半の日本の政治、生活、風俗を書いた本。覆下栽培が書かれている。
- ニュウサツ(入札)
- 競争入札のこと。茶の見本を審査して値札を入れ、一番高値で落札される。
- ニヨリ(二撰)
- 手製仕上げで、一撰を篩で何回か葉揃えし箕で簸出した箕元から手撰で細い骨や色の浅い葉を拾い取ること。二番撰、流撰(ナガシヨリ)に同じ。
- ニワヤケ(庭焼)
- 庭などに蓆を広げて生芽を保管しているときに、生芽が萎凋したり、焼けること。
ヌ
- ヌキアタマ(抜頭)
- 荒茶の仕上げ工程で、平行篩と廻し篩によって選り分けられた篩網の上に残る茶のこと。頭。
- ヌキオトシ(抜き落し)
- 宇治篩を30度から45度に傾け、篩に振動を与えて茶を立て、細い茶が篩を通っていくよう操作する。
- ヌキギリ(抜き切)
- 茶葉を一纏めに揃えて軽く摑で力を少しく入れ両端を抜き切り、或いは中より二つに抜き切りすること。抜き切りをすれば、曲がりたる葉も引き抜く際に真直ぐになるなり。
- ヌキシアゲ(抜仕上げ)
- 荒茶を篩で抜き、抜頭は本茶に混ぜないで抜下だけを仕上げ茶にする仕上げ方法のこと。
- ヌキシタ(抜下)
- 荒茶の仕上げ工程で、平行篩と廻し篩によって選り分けられた篩網の下に落ちた茶のこと。
- ヌキドウシ(抜篩)
- 平行篩のこと。
- ヌスミ(ぬすみ)
- 茶臼の下臼の下面の石が粗く削り取られている部分のこと。
- ヌルボイロ(ぬる焙炉)
- 煉焙炉よりもっと温度の低い焙炉のこと。
ネ
- ネコ(猫)
- 抹茶が茶缶の中で小さく固まって丸くなった状態を言う。抹茶を点てる時、お湯を注いで茶碗の中で丸く固まるのをダマと言う。 しめりではなく、振動による静電気によって起こる場合が多い。
- ネコモチャヲノム(猫も茶を飲む)
- 分不相応なことをすることのたとえ。
- ネットウギョクロ(熱湯玉露)
- 冠せ茶の異名。
- ネバイ(ねばい)
- 一番茶の葉が柔らかく、玉が出来ること。徳島那賀町。
- ネリ(煉)
- 茶をじっくり乾燥すること。
- ネリジョタン(煉助炭)
- 製造した茶を入れ、ホイロの棚に載せて乾燥するするために用いる。
- ネリバ(煉場)
- 茶を乾燥する場所のこと。
- ネリビ(煉火)
- 比較的低温で長時間火入れすること。
- ネリブソク(煉不足)
- 茶の乾燥が十分ではないこと。
- ネリホイロ(煉焙炉)
- 製造した茶を完全に乾燥するために用いるややぬるい火の焙炉のこと。アゲロ、アゲホイロ(揚げ焙炉)、隠居焙炉、ホシボイロ(干焙炉)、ワキホイロ(脇焙炉)とも言う。
- ネリモミ(練揉み)
- 茶葉を左右の手に掴み、左の腕を炉縁に備え、体より振込、最も強く捻揉(ねじりもみ)みをなす。
- ネリロ(煉炉)
- ネリホイロに同じ。
- ネン(ねん)
- 手製碾茶の製造で使用する道具。竹製の熊手状の道具で、焙炉の助炭に広げられた蒸し葉を攪拌するのに使う。メン(めん)、サラエ(さらえ)に同じ。
ノ
- ノオヤカタ(野親方)
- 茶園での仕事を取り仕切る人のこと。ノマワシに同じ。
- ノゴヤ(野小屋)
- 覆いをするための材料であるナル、竹、葦簾、藁、縄などを入れておく小屋のこと。オイゴヤに同じ。
- ノシ(のし)
- 下骨を強固にする為に、太い竹をナルから斜めにハリを入れること。筋交い、ツッパリともいう。
- ノズラ(野面)
- 茶園の様子。
- ノダテ(野点)
- 野外で茶を点てること。野外での茶会のこと。
- ノチムカシ(後昔)
- 初昔とともに、将軍家用の碾茶の茶銘である。初昔は蒸製の若い葉で作られた白茶に付けられたのに対して、後昔は湯引き製で作られた「青」茶に付けられた。
- ノツボ(野壺)
- 下肥を発酵させるために茶園に埋けてある壺のこと。ドツボに同じ
- ノドゴシ(喉越)
- お茶を飲み込むときの喉の感覚。「喉越しが良い、喉越しが悪い。」と使う。
- ノビ(伸)
- 揉まない碾茶やクルッと曲がったグリ茶に対して、スッーと伸びた煎茶や玉露を伸(のび)伸茶(のびちゃ)と言う。
- ノビチャ(伸茶)
- ノビに同じ。
- ノベ(延)
- 生産者の畑ごとに毎年販売する問屋が同じで、取引は金利を含んだ単価で仕切り、支払いは翌年の新茶までに支払月を定めて決済する取引。延取引
- ノボリモチ(幟持)
- 焙炉師幟を持った熟練焙炉師のこと。
- ノマワシ(野間師)
- 茶園での仕事を取り仕切る人のこと。野親方に同じ。
- ノミリョウ(飲み料)
- 茶生産家が家で一年間飲むために作る自家用茶のこと。
- ノーイキ(野行き)
- 茶園の仕事に行くこと。